冬の皮膚トラブルに注意

イラストレーション:堺直子


冷たい北風にさらされ、肌荒れしやすい季節になりました。かゆみや湿疹、発疹など、この時期の肌はトラブルと隣り合わせ。しかし、適切なケアを行えば、多くの肌トラブルは避けられます。健康な肌で冬を乗り切るための注意点を押さえておきましょう。


寒さや温かさがじんましんを引き起こすことが

冬の肌トラブルでしばしば見られるものに「寒冷じんましん」があります。寒い外気に当たったり、冷たい物に触ったりしたとき、肌にかゆみを伴う赤い発疹ができるじんましんです。皮膚に寒冷刺激が加わることで、かゆみの原因物質であるヒスタミンが皮膚の肥満細胞から大量に分泌されて発症します。

反対に、温かさが刺激になって同様のじんましんが生じることがあります。これを「温熱じんましん」といいます。この時期だと、ホットカーペットやストーブ、カイロなどからの温熱が刺激となることが多いようです。

寒冷じんましんの場合は発疹が出た場所を温め、温熱じんましんの場合は冷やすと、通常、数分~30分程度で症状は治まってきます。


保湿剤をたっぷり塗って肌を乾燥から守る

気温が低くなり湿度も低下する冬は、肌が乾燥しやすくなります。そのため、皮膚の一番外側にあって、皮膚からの水分蒸発を防ぐ皮脂膜が乱れ、皮膚のバリア機能が低下します。そこに寒冷刺激や温熱刺激、あるいは衣服との摩擦などの刺激が加わると、かゆみが生じたり発疹が出たりします。寒冷じんましんや温熱じんましんの症状を悪化させないためには、肌を乾燥から守ることが大切です。

入浴時にナイロンタワシなどに石けんをつけてゴシゴシ洗うと、皮脂膜が失われてしまいます。手のひらで石けんを泡立て、その泡で肌をやさしく洗います。お風呂からあがったら、すぐに保湿剤を全身にたっぷりと塗りましょう。このときも、肌に刺激を与えないよう、やさしく塗ってください。

湿度が50%を下回ると、皮膚からの水分蒸発が始まるといわれます。加湿器などを使い室内の湿度を50~60%程度に保つことも大切です。


自己判断で薬の使用を止めないで

かゆみが続く、皮膚症状がひどくなった、かゆくなった部分をかきむしって患部がグジュグジュしているといった場合は、早めに医療機関を受診してください。

治療では、皮膚トラブルの症状に応じて、炎症やかゆみを抑えるステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬などが用いられます。症状が落ち着いたからと自己判断で薬の使用を中止すると、再発をくり返したり、しだいに症状が重くなったりすることがあります。必ず医師や薬剤師に相談してください。

また、皮膚トラブルについてわからないことがあるときも、薬剤師に気軽におたずねください。