冬はインフルエンザが流行する時期ですが、ここ2年、ほとんど感染者はいませんでした。しかし、この冬はインフルエンザと新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の同時流行の可能性があるといわれています。インフルエンザ対策も忘れずに行いましょう。
南半球では今年の冬、インフルエンザが流行
インフルエンザと新型コロナが同時流行する可能性があるといわれる背景には、日本とは季節が逆の南半球の状況があります。
オーストラリアのインフルエンザ感染者は2020年、2021年は極めて少数でした。しかし、2022年4月後半から急増し、新型コロナが広まる前の2019年を超える状況になったそうです。オーストラリアでインフルエンザが流行した理由の一つとして、新型コロナによる行動規制がほぼ撤廃され、人の移動が増えたためと推測されています。
こうしたことから、日本でもインフルエンザと新型コロナの同時流行が懸念されているのです。
インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの同時接種は可能
インフルエンザの予防で重要なのが、インフルエンザワクチンの接種です。ワクチンを接種すると、発症の危険性を50~60%減少できるとされています。また、高齢者では死亡リスクを82%減少させるという報告もあります。
ワクチンの効果は接種して約2週間後から出始めます。日本でのインフルエンザの流行は例年1~2月が多いことから、11月末ごろから遅くとも12月中旬までに接種するのが望ましいといえます。特に高齢者は、インフルエンザから肺炎を合併して重症化することが多いので、ワクチンの接種が強く推奨されています。
新型コロナワクチンの接種を予定している人は、インフルエンザワクチンを同時に接種できます。なお、インフルエンザワクチン以外のワクチンとの同時接種は、安全性に対する知見が十分ではないため、受けられません。2つのワクチンの接種期間を2週間以上、空ける必要があります。
日常生活での心構えは継続して
インフルエンザの典型的な症状に、38度以上の発熱があります。新型コロナでも同様の症状が現れるため、発熱した人は両方のウイルスに対する検査を受けましょう。インフルエンザと診断された場合には、抗ウイルス薬による治療が検討されます。
新型コロナ対策として行ってきたマスクの着用、うがい、手洗いなどはインフルエンザ対策としても有効です。引き続き実践しましょう。
なお、インフルエンザについてわからないことがあるときは薬剤師に気軽におたずねください。
イラストレーション:堺直子
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