まちの薬局つれづれ日記 西木調剤薬局(秋田県)vol.1

日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。今号から class A 薬局の仲間で、西木調剤薬局(秋田県仙北市)薬剤師の畠玲子さんがお届けします。


『手渡しのコミュニケーション』

秋田県仙北市西木町にある西木調剤薬局の畠玲子と申します。当薬局は、南北40kmにわたる中山間地に位置する地域唯一の薬局として、開業から24年が経ちました。

開業当初、私は健康に関する話題を毎月テーマを変えてA4サイズの紙に印刷し、店舗の入り口に掲示していました。ただ自分がやりたいという一心で始めたことでしたし、当時はデジタルサイネージのような便利なものもありませんでしたので、継続が難しくなりました。

そんな中、MSさんから class A の立ち上げの話を伺い、「基本的に手渡しで配布する読み物」というLifeの見本を拝見して、自分がやりたかったことだ、渡りに船だと感じ、入会を決めたことを覚えています。

Lifeの配布を続けるうちに、「読んでます、楽しみにしています」「これいいね、面白いね」「新しいのをください」「母ちゃんが(裏面の)クロスワードパズルが好きなんだよ」といった、多くの声をいただけるようになりました。

また、Lifeの読者プレゼントへの応募コメントが、貴重なフィードバックとなっています。「いつも薬の説明を丁寧にしてくれる」といった、私たちのモチベーション向上につながるお褒めの言葉や、「投薬口がもう少し広いとよい」といった率直なご意見もあり、プレゼント応募のためのコメントとはいえ、新鮮な驚きと学びがあります。また、高齢の利用者が多い当薬局ですが、最近ではハガキではなくWeb経由の応募がほとんどである点も興味深いです。

この原稿を書きながら改めて思うのは、保険薬局の仕事は「手渡しのコミュニケーション」から始まるということです。調剤、市販薬の相談、物販、そのすべてに「会話」が伴います。薬剤師として、薬を知ることはもちろん、「人」と「地域」を知ることを決して忘れてはいけません。

最後に、「人と地域を知ること」に関連して、小説新潮2026年4月号の話題をご紹介させてください。6名の作家による「現場を知る人の医療小説特集」の中に、愛野史香さんの『壁の向こうに届ける』という保険薬局を舞台にした小説があります。

初回の来局で「至急」の対応を迫られ薬を渡すだけに留まった薬剤師が、その後の再来局で患者さんの背景を知り、信頼関係を構築していく過程が、手に取るように描かれていました。他にも面白い短編が多数掲載されていますので、機会があればぜひご一読ください。


text by 畠 玲子(はた・れいこ) 

昭和薬科大学卒業後、ドラッグストア・病院勤務を経て現在に至る。ライティングサロンで文章を書く楽しさに触れ、「地域医療ジャーナル」というWeb媒体(現在廃刊)や、いくつかの薬学書籍で共著に参加。NPOどんぐり未来塾で活動中。