夏の皮膚トラブル

今年の夏は、山や海など戸外で思いっきり遊ぶ計画を立てている人は多いことでしょう。しかし、気をつけないと思わぬ皮膚トラブルに見舞われることが。対処の仕方や予防法について知っておくと安心です。


海や山へ行くときはいつもと違う日焼け止めを使用

夏の強い日差しを浴びると、肌が赤くなることがあります。いわゆる“日焼け”と呼ばれるもので、医学用語で「日光皮膚炎」といいます。強い紫外線により皮膚が炎症を起こし、やけどになった状態を指します。通常、紫外線を浴びた数時間後から皮膚が赤くなります。ひどい場合は水ぶくれができたり、頭痛や発熱などの症状が出たりすることもあります。

日焼けで顔が赤くなりほてるときは、濡れタオルや冷水で患部を冷やします。それでもなお熱感やヒリヒリ感が続いたり、症状が悪化したりする場合は、医療機関を受診しましょう。

日焼け対策として有効なのは、帽子や長袖などで肌を隠すことと、日焼け止めを塗ることです。日焼け止めは、日常生活ではSPFが10~30、PAは++で十分ですが、海や山など紫外線の強い地域ではSPF40〜50+、PAは++++がおすすめです。また、こまめに塗り直すことも大切なポイントです。


湿布薬を使ったところが紫外線で赤くなる!?

紫外線が原因で起こる皮膚炎として最近注目されているのが「光接触皮膚炎」です。皮膚についた化学物質と紫外線が化学反応してかぶれが生じるもので、原因物質として医療用湿布薬の成分が知られています。

光接触皮膚炎でも、皮膚が赤くなったり、腫れたり、水ぶくれができたりなど、日焼けのような症状が現れます。こうした症状が出たときは、すぐに湿布薬の使用を中止し、皮膚に湿布薬の成分が残っている少なくとも4週間は、症状の出た部位を紫外線に当てないようにします。

治療では、ステロイド軟膏などが用いられます。症状が治まったあとも、しばらくの間は衣服などで覆い、肌に直接紫外線が当たらないようにします。


ハチに刺されると命に危険が及ぶことも

キャンプやハイキングに行く際に注意しなければならないのが虫刺されです。中でもハチに刺されると、体質によってはアナフィラキシーショックと呼ばれる非常に強いアレルギー反応が起こり、場合によっては命に関わることがあります。

ハチに刺されたときは、刺された傷口を水でよく洗い流します。針が残っている場合はピンセットなどで抜き、抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を塗り、保冷剤などで冷やします。息苦しさやめまい、血圧低下、嘔吐などの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。ハチは黒っぽいものに反応して攻撃する習性があるので、白や明るい色の長袖、長ズボンなどで皮膚を覆いましょう。

なお、夏の皮膚トラブルについてわからないことがあるときは薬剤師に気軽におたずねください。

イラストレーション:堺直子