まちの薬局つれづれ日記 白澤薬局(兵庫県)vol.7

日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。class A 薬局の仲間で、白澤薬局段上店(兵庫県西宮市)薬剤師の金光伴訓さんがお届けします。


『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)』

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は2001年に大阪市で開業し、既に23年の歴史を持つテーマパークですが、近郊に住んでいるのでいつでも行けると思って行かずじまい。先日、家族に連れられて、初めて訪れました。

入場してまず驚いたのは、圧倒的な人の数。それも欧米系の人ばかりでなく、アジア系の家族も多く、まさに人種のるつぼ。年齢層もさまざまでした。

さらに驚いたのが、キャラクターの数。映画好きの私には、ユニバーサルと言えば「バックトゥザフューチャー」や「JAWS」「ジュラシックパーク」などを思い浮かべるのですが、「JAWS」のアトラクション以外は既になく、替わって「ポケモン」「ハローキティ」「スヌーピー」等幼児向けから「ハリーポッター」「スーパーマリオ」「名探偵コナン」「鬼滅の刃」まで、ゲームや漫画のキャラクターが数えきれず、まさにディズニー以外はすべてあると感じるほどでした。

調べてみると、開業初年度の年間入場者数は1100万人ほどでしたが、その後は減り続け、2010年には750万人にまでなり、赤字を出し続けたそうです。そこでP&Gから森岡毅氏を迎え入れ、徹底的な改革を断行。改革の根底にあるのは“消費者目線”でした。

まず来場者のターゲットを、“映画好き”からファミリー層に広げ、キッズ向けエリアを作り、ハローキティやスヌーピーを登場させ、家族で安心して遊べる場所を作りました。そしてアトラクションも、それまでの120cmの身長制限を、より多くの子どもたちが参加できる102cmにしたことで、リピーターが続出したそうです。

次に世界に通用するテーマパークにするため、ハリー・ポッターをUSJに招き、世界中の人が注目する新たなエリアを作りました。

さらに、開業時のコンセプト「ハリウッド映画世界の再現」から、アニメやゲーム、漫画、音楽まで、全てのエンターテイメントを取り込むことに変更し、USJは大変身を遂げました。


来場者が本当に喜ぶものと、来場者が喜ぶだろうと制作者が考えるものは、必ずしも一致しない。そのために、先ずは一人の消費者として、自分が本当に求めているものはなにかを考える。

それは薬局にも通じること。患者目線に立てば、今の薬局に欠けているものが見えてくるのではないでしょうか。


text by 金光伴訓(かなみつ・とものり)

経済学部社会政策科卒。一般企業企画開発室を経て、薬学部へ社会人入学。在宅医療に取り組む中、社会福祉審議会で福祉医療計画策定に取り組んでいる。趣味は、映画・演劇・落語からラグビー・合気道と幅広い。