まちの薬局つれづれ日記 岡村薬局(大阪府)vol.2

日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。

class A 薬局の仲間で、岡村薬局(大阪府)薬剤師の岡村俊子さんがお届けします。

通りすがりの人も、私も楽しい岡村薬局のディスプレイ


『私の譲れない仕事』

岡村薬局の外装は道路に面する部分がガラスになっていて、薬局の中が外から丸見えです。ということは中から外も良く見えます。そのガラス周辺に季節ごとの装飾をするのが「私の譲れない仕事」です。

譲れない理由①……私が楽しい

譲れない理由②……装飾を見ている人の反応を確認するのが楽しい

来局された患者さまが「いつも(装飾を)見て楽しませてもらっています」と言ってくださるという思いがけないオマケがあるときもありますが、それも含めて100%「私が楽しい」のです。


楽しい理由①

岡村薬局は昭和40年くらいから資生堂化粧品を扱っています。今はもうありませんが、カウンセリングするカウンターの陳列ケースはいつも季節感のある小物で飾られていました。化粧品を購入するとき、キレイになるかも!とワクワクする高揚感と、使った後の新しい自分を想像する期待感があります。

包装や装飾はお客さまの気持ちを持ち上げてくれる小道具だと思うのです。薬に装飾は必要ないかもしれないけれど、せめて滞在する空間は患者さまにとってくつろげる空間にしたい。


楽しい理由②

私には三人の娘がいますが子育てはとっくに終わり、娘たちのために行っていた季節イベントの機会が減りました。今は一日中薬局にいるので、今度は薬局で楽しむことにしました。対象年齢は保育所に通う幼児や小学校低学年を想定していましたが、中学生や保護者も楽しんでくださっています。外に設置してあるベンチに座り、装飾を覗き込んで楽しそうに会話している子どもたちの姿を見つけた時は心の中でガッツポーズです(笑)。


楽しい理由③

ドールハウスの製作をしている方が「大勢の方に見てもらいたいので飾ってほしい」と作品を持ってこられたこともありました。残念ながらいまは遠くに引っ越しされ、作品もお返ししました。その代わりになる物はないか……と考えて自分で作り始めたのがレゴシリーズです。子どもたちに人気のあるディズニーシリーズ、スターウォーズシリーズを作っています。ちょうど新型コロナ禍も重なり外出が制限されているので、私の楽しい趣味になっています。

医薬品を扱う薬局業務は、患者さまの命に関わるだけにミスが許されず神経を使います。私は毎日の業務の中で「薬局らしくない空間を作る」という「自分を癒やす楽しみ」を見つけたのです。これが「私の譲れない仕事」の理由です。


text by 岡村俊子(おかむら・としこ)

京都薬科大学卒業後、ロート製薬勤務を経て専業主婦に。その後、三人娘の子育てをしながら亡夫の実家である岡村薬局のパート薬剤師になる。平成22年より開設者・管理薬剤師。現在はまっている趣味は海釣り。