まちの薬局つれづれ日記 岡村薬局(大阪府)vol.1

日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。

class A 薬局の仲間で、岡村薬局(大阪府)薬剤師の岡村俊子さんがお届けします。

店のポリシーを明確にしたキャッチコピー


元気もキレイも、気軽に相談! 岡村薬局

はじめまして! 今回よりコラムを担当させていただく岡村です。

太陽の塔がある大阪府吹田市にある創業91年の小さな個人薬局の経営者です。


岡村薬局は資生堂化粧品も扱っている健康サポート薬局ですが、5年ほど前に突然、商工会議所のイケメン職員Hさんが「小規模事業者持続化補助金50万円の申請をしてみませんか〜?」とやってきました。

商工会議所に入会して70年以上になりますが、人間ドックや安全対策備品の補助申請、野球観戦や芝居のチケット応募くらいしか利用することはありませんでした。よくわからないまま「補助金50万円!」に目がくらんで、時間を割いて資料を作り始めました。

事業計画を立て、販路開拓、新たな市場への参入、新たな顧客層獲得に向けた商品の改良や開発への取り組みを考えてみたものの、岡村薬局は医療機関からの処方箋応需が利益のほとんどを占めており、調剤基本料や加算も行政に細かく決められているので、改善はできても開発は難しいと思いました。残念ながら補助金はもらえませんでしたが、薬局も小規模企業として考える必要があると、補助金申請を機に改めて感じました。


その後、Hさんは次々に人を連れてきました。ホームページ作成業者、内装業者、外装工事業者、保険業者、そしてクリエイティブ・ディレクターのSさん。Sさんは「ブランディングしましょう!」と切り出し、地域でどういう存在になりたいのか? 何を提供したいのか? 変えたいのは何? 変えたくないのは何? と2時間インタビューしたのち5種類のキャッチコピーを提案し、私は選んだコピーを新しいテントに印刷しました。

そう、私は「元気」と「キレイ」を地域の皆さまに「気軽に」「相談」していただきたいと思ったのです。


ただ、このコピーを見た長女がひとこと。「あたりまえの言葉を並べただけやん! カモになったんとちゃう?」……シュン(涙)……でも!(ここが私の立ち直りの早いところです)店内の商品はお客さまが見やすい配列になり、外からは薬局の中がよく見えるようになり誰でも入りやすくなりました。

「私が譲れないのは何か?」を明確にした意味はあったと思っています(笑)。


text by 岡村俊子(おかむら・としこ)

京都薬科大学卒業後、ロート製薬勤務を経て専業主婦に。その後、三人娘の子育てをしながら亡夫の実家である岡村薬局のパート薬剤師になる。平成22年より開設者・管理薬剤師。現在はまっている趣味は海釣り。