日常の中で感じるあんなこと、こんなこと。
class A 薬局の仲間で、天心堂梅崎薬局(福岡県)の梅崎実さんがお届けします。
お客さまからの信頼が、弊社の最大の財産です
ピンチはチャンス
本コーナーの執筆依頼をいただいたのが2020年3月17日。早いものでもう一年、私の執筆は最終回となりました。
ご依頼いただいた時には、第4波や3回目の緊急事態宣言など、コロナの影響がここまで長引くなんて想像もしていませんでした。
医療への影響も大きく、危機感を覚えている薬局も多いのではないでしょうか。
でもこんなピンチこそ、薬局の在り方を見つめなおす良いチャンスだと思っています。
先日、PHARMACY NEWSBREAK社の記者の方が当店を取材に来られました。
当薬局で行っているお礼ハガキやニュースレターなど、地域密着の取り組みをご紹介くださり、たくさんの反響をいただきました。
しかし、最初からこんな取り組みをしていたわけではありません。
これらの取り組みを始めたのは、そうしなければ乗り越えられないピンチがあったからなんです。
天心堂は調剤だけでなく漢方薬店も経営しています。
2013年、その漢方薬店は医薬品通販の解禁やドラッグストアの出店強化の影響から、売上が40%も減少しました。
経営的には大打撃。
それはもう、店の存続も危ぶまれるほど。
なんとか状況を打開しようとさまざまな集客策に手を出しましたが、失敗の連続で…。
そこで一旦手を止めて、天心堂の理念や理想の将来像を見つめなおすことにしました。
その結果、理念を「天心堂に関わる全ての方が元気で楽しい人生をすごせるようお手伝いする」とし、お客さまにとっての「一番身近な健康アドバイザー」を目指すことにしました。
どうしたらその理想像に近づけるか。
試行錯誤した結果が、先述したお礼ハガキやニュースレター、セミナーなどの健康イベントです。
今ではこれらの取り組みによって培われた顧客との信頼関係が天心堂の最大の強みとなっています。
つまり、経営危機がなければ今の強みはなかったわけです。
コロナの影響は先が見えません。
危機感を持つ日々がまだまだ続くことでしょう。
でも、今のピンチは、薬局の在り方をもう一度見つめなおし、ピンチを乗り切るために知恵を絞るチャンスでもあります。
このピンチの時に、地域の方のお気に入り薬局になる方法を考え抜くことが、末永く地域に必要とされる薬局作りにつながる。
私はそう信じています。
text by 梅崎 実(うめざきみのる)
福岡県柳川市で調剤薬局と漢方薬店を運営する天心堂の副社長。顧客との固いつながりを武器に大手に負けない経営を実践中。経営コンサルタントの国家資格「中小企業診断士」として、売上UPや補助金申請支援も行う。
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