加齢とともに増える目の病気に気をつけて

目の健康は、安心・安全な生活を送るためだけでなく、日々の楽しみや物事への意欲にも大きく関わります。加齢とともに増えてくる代表的な目の病気が白内障、緑内障、網膜剥離です。これらを早期発見し、適切に対応することは目の健康を保つうえで大切です。


水晶体が濁り、物がかすんで見える「白内障」

カメラのレンズにあたる水晶体が白く濁る病気が白内障です。

代表的な症状は目のかすみです。目が疲れたときに物がかすんで見えるのとは異なり、白内障の場合は目の疲れの有無にかかわらず、物が見えにくい状態が続くのが特徴です。ほかにも、光をまぶしく感じたり、暗いところで物が見えづらくなったり、物が二重三重に見えたりするなどの症状があります。

水晶体はいったん濁ると元の透明な状態に戻すことはできません。症状を改善するには濁った水晶体を取り除き、眼内レンズと交換する手術が必要です。白内障の手術は体への負担は少なく、高齢であっても受けることができます。また、条件によっては日帰り手術も可能です。


視野が欠けてきて、失明に至ることもある「緑内障」

緑内障は、目に入ってきた光の情報を脳へ伝える視神経が障害されることで視野が欠ける病気です。進行すると失明に至ることもあり、日本では中途失明の原因の第1位となっています。

原因は加齢のほかに、「近視」「眼圧の上昇」が挙げられます。強い近視で眼球が前後に長くなったり、眼圧が高くなったりすると視神経が圧迫され、障害されやすくなります。ただし、正常眼圧であっても緑内障を発症するケースも多く見られます。

濁った水晶体同様、一度障害された視神経は元に戻りません。そのため治療は進行を食い止めることが目的となります。主な治療法は薬物療法、レーザー治療、手術療法の3種類で、緑内障のタイプによって選択されます。


網膜が剥がれて視野の一部が欠ける「網膜剥離(もうまくはくり)」

眼球の内側を覆う組織が網膜で、カメラにたとえるとフィルムの役割をしています。眼球内を満たす硝子体が萎縮して網膜が剥がれる病気が網膜剥離です。

初期には、糸くずや虫が飛んでいるように見えたり(飛蚊症〈ひぶんしょう〉)、暗いところで光が見えたりします(光視症)。また、剥がれた網膜は光を感じなくなるため、剥がれた部位に応じて視野の欠けが生じます。剥離が進行し網膜の中心部の黄斑部に及ぶと、急激に視力が低下し、放置すると失明に至ります。治療には萎縮した硝子体を取り除く手術が行われます。

ここで取り上げた3つの目の病気はどれも症状に気づきにくいものです。定期的に眼科を受診し検査を受けることが早期発見につながります。

なお、目の健康についてわからないことがあるときは、薬局の薬剤師に気軽におたずねください。


イラストレーション:堺直子