イラストレーション:堺直子
平成30年に東京都福祉保健局が実施した「家庭における食中毒予防に関する調査」で、自分や同居家族に食中毒の経験がある人は18%、そのうち3割が家での調理が原因と答えています。蒸し暑い夏は細菌による食中毒の危険が高まります。細心の注意を払いましょう。
食中毒予防の3原則を守ろう
食中毒予防の基本は、「付けない」「増やさない」「やっつける」です。
細菌を付けないためには、食材を触る前に丁寧に手を洗うことが大切です。また、包丁は1つの食品を切るごとに洗剤で洗います。まな板は肉用、魚用、野菜用などと食材ごとに使い分けるとともに、使ったあとは洗剤で洗いましょう。包丁やまな板は、洗ったあとにアルコールの消毒液をスプレーしたり、熱湯をかけたりすると、より安心です。
細菌は温度が10℃以下の環境下では増殖しにくくなります。買ってきた肉や魚は当日使う分は冷蔵庫で、すぐに使わないのであれば冷凍庫で保存しましょう。冷凍した食品を解凍する場合は、常温ではなく、冷蔵庫内で解凍するか、電子レンジを使います。
食中毒菌の多くは75℃以上で1分以上加熱すると死滅するので、肉や魚は、中心部までしっかりと火を通します。電子レンジを利用するときは、加熱箇所が偏らないように、途中で置き方を変えたりして、むらなく加熱しましょう。
お弁当づくりやバーベキューをするときも予防を忘れずに
会社や学校に持っていくお弁当を手作りする人も多いのではないでしょうか。おかずは中までしっかり加熱しましょう。特に細菌の汚染率が高い鶏肉、挽き肉、卵料理は包丁で切るなどして、中まで火が通っていることを確認してください。食材の水気はお弁当が傷む原因になるので、煮物の煮汁などはしっかりきりましょう。
弁当箱にふたをするときは、十分に冷めてからにしましょう。温かいうちにふたをすると、弁当箱内に蒸気がこもって細菌が繁殖しやすくなります。
屋外でバーベキューを楽しむ場合は、肉や魚の下ごしらえを家ですませ、すぐに調理できるようにしましょう。肉や魚を焼くときに使うトングや箸は調理専用にし、食べるときは使用しないことも大切なポイントです。場が盛り上がってくると、クーラーボックスから出した食料や、焼いた肉や魚をテーブルの上に何時間も放置しがちです。すぐに食べないものは、クーラーボックスに入れておきましょう。
食中毒を起こしたときは水分補給をしっかりと
食中毒を起こすと、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐などの消化器症状が現れます。脱水しないようにこまめに水分補給をして、安静を保ちましょう。症状が激しかったり、発熱や血便が見られるような場合は、早めに医療機関を受診してください。特に乳児の場合、痛そうにしていたり、顔色が悪かったりしたら夜間でも必ず受診してください。
なお、食中毒についてわからないことがあるときは、薬剤師に気軽におたずねください。
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